ファーウェイ大ピンチ!グーグルからのサポート停止措置でスマホの世界シェア返上?

時事

ファーウェイ事件のあらまし

経緯

米国時間5月20日のロイターの報道によれば、グーグルはファーウェイへのハード、ソフトのサポートを停止したと発表。これはAndroidのアップデートの提供を停止されたことを意味し、Android端末のシェアが世界的規模を誇るファーウェイは激震に見舞われた格好です。

Androidはグーグルの携帯端末用基本ソフト(OS)ですので、今後ファーウェイの新型スマホは、Google PlayやGmail、YouTubeなどグーグル製のサービスやアプリが使えなくなる見込みです。一方、既存のファーウェイ製スマホについてはサービスを継続するとのことです。

原因

この停止措置は、トランプ政権がファーウェイをアメリカ企業との通商を禁じる企業のリストに加えたことで発動。ファーウェイ製品をめぐっては、以前から中国政府による情報収集に利用されているのではと警戒されていました。グーグルは「政府の命令」として明言を避けています。

影響

すでにインテルやクアルコムといった名だたる米企業が取引停止を発表する中、世界各地のIT企業にも影響を及ぼしています。グーグルに追随してファーウェイと絶縁しない限り、アメリカの禁輸ブラックリストに載る可能性があるからです。これまで英半導体ARM、パナソニックなどが取引停止を発表しています。

ファーウェイとは

概要

ファーウェイ(華為技術)は、1987年に通信機器を開発する企業として中国・深圳に設立。通信基地局設備などの通信インフラの研究開発などを足がかりに、SIMフリースマホで急成長を遂げました。ファーウェイの従業員は中国の本社だけで6万人、全世界では18万人に及ぶといいます。なお、東京に日本法人も存在します。

創業者

1944年生まれの任正非(Ren Zhengfei)氏。元人民解放軍所属であり、軍事技術者たちとファーウェイを設立、現在は最高経営責任者(CEO)を務めています。任正非氏は滅多にメディアに登場しないため人物像が公にされてはいませんが、2011年にファーウェイの経営からは退いたとのことです。

任正非には娘がいます。それが孟晩舟(Meng Wanzhou)。母方の孟を名乗っており、ファーウェイのCFO(最高財務責任者)。アメリカの制裁措置の対象となっているイランでの事業に携わっていましたが、2018年12月、アメリカの対イラン制裁に違反したとして、カナダで逮捕されました。

アメリカとの関係

トランプ大統領は、ファーウェイを米国家安全保障上「非常に危険」として名指しで批判。選挙期間中から中国との貿易不均衡を問題として取り上げており、就任後は互いが輸入品に関税を掛け合う「貿易戦争」に発展しました。

そんな中、アメリカ各地に設置されているファーウェイ製の通信機器が、中国政府による情報収集に利用されているのではないかという指摘が浮上。ファーウェイとZTE(中興通信)の製品の米政府機関での利用を禁止されたのに加え、次世代通信規格5Gのネットワーク整備事業からファーウェイの排除、そしてグーグルのAndroidサポートの停止につながったと考えられます。

ファーウェイの製品

ラインナップ

ファーウェイの中核事業は、携帯電話事業者の基地局などで稼働する通信機器です。しかしながら、一般の消費者にとって、ファーウェイはスマホメーカーとして認知されています。日本でもファーウェイ製端末は販売されているので、街中でファーウェイのロゴを目にした方は多いと思います。

ファーウェイは日本ではもともとキャリア向け端末の提供をしていましたが、2014年に新たな戦略としてSIMフリー市場へ参入。エントリーモデルからハイスペックモデルまで、国内のSIMフリー端末メーカーとして最も多い機種ラインナップを誇ります。

中国メーカーということで日本市場では逆風だったと思われますが、幅広いモデルを提供し要求の高いニーズにも対応。製品を見る目が世界一厳しいと言われる日本において、進出から10年経過しているということは商品開発やマーケティングなど総合的に実力のある企業と言えるのではないでしょうか。

シェア

2018年のデータによると、全世界のスマホ出荷台数でファーウェイは14.7%で第3位。1位のサムスンが20.8%、2位のアップルが14.9%だったので、アップルとほんの0.2%しか差がないことがわかります。注目すべきは出荷台数の年間伸び率で、アップルが前年比3.2%減だったのに対し、ファーウェイは同33.6%増。勢いの違いが鮮明となりました。

なお、2019年第1四半期で見ると、過去最高の17%に到達し、12%と減速したアップルを追い抜きました。販売が前年比で約50%増となり、21%を誇るサムスンに次ぐ世界第2位のスマホメーカーへとのし上りました。今回のグーグルによるAndroidサポートの停止が今後の販売にどう響くのか、注視したいと思います。

今後の見通し

アメリカの経済制裁によってグーグルとの取引が停止されたファーウェイ。世界の大手IT企業が追随し、日本の大手携帯キャリアもファーウェイ製スマホの最新モデルの販売延期を発表しました。世界シェアも2位になったばかりだったので、冷や水を浴びせられた格好となり、フェードアウトのみならず企業としての存続も懸念されます。

折しも、オランダの諜報機関AIVDがファーウェイに対する調査を開始し、ファーウェイ製のデバイスにバックドアを潜ませデータを収集していた疑いがあると発表しました。バックドアとは、悪意を持ったユーザーがシステムに侵入し次回から容易にアクセスできるようにすること。不正な情報収集の証拠となり得るものであり、中国政府のスパイ活動との関連を調査しているとのことです。

このままグーグルのサービスが使用できない場合、ファーウェイは自前のOSを開発してスマホに搭載することが考えられますが、製品開発を英ARMやパナソニックなどに依存しているため容易ではないという話も。そのほか、消費者からのブランドイメージ低下により、事態が収集して販売再開となっても大きくつまずく可能性が高いです。

この問題は米中間で起きている経済摩擦に端を発しており、ファーウェイが中国政府に加担してスパイ行為を助長していたのかを解決しない限り収まらないでしょう。単にひとつの企業だけの問題ではなく、米中という現代の超大国同士の問題であることを私たちは認識する必要があります。